危険家屋 京で通報増加 老朽化、 「崩れそう」「瓦落ちかけ」

   (2008年2月8日金曜日 京都新聞 夕刊)



〔京都新聞『電子版』〕
老朽化の進んだ民家や空き家に対し、危険を感じた近隣住民からの「崩れそう」「屋根瓦が落ちてこないか心配」などといった通報が、京都市内で増加している。市は、倒壊の恐れのある「危険家屋」と判断した場合、建築基準法に基づいて修理や撤去などの行政指導を行っているが、指導を拒むケースも多く、「私有財産なので行政の介入には限界がある」と対応に苦慮している。
 修理、撤去は持ち主任せ 市の指導 限界
 昨年12月下旬、右京区住民から「近所の家の屋根が落ちている。家人を見かけないので閉じ込められているかも」と区役所に通報があり、市消防局や右京署も出動する騒ぎになった。木造2階建ての家は傾いて隣家に接触し、屋根に穴が開いていた。
 住人の男性は外出していただけだったが、現地調査を行った市は、男性に家の撤去を指導した。男性は家を出たが、家はそのままだという。
 危険家屋に関連する市への通報は、2000年度は23件だったが、年々増え、06年度は48件に上った。高齢化と核家族化で空き家が増えているのが主な原因とみられるが、住人がいる場合もある。
 指導の際、市は「家の維持管理は所有者の義務」「第三者にけがさせると所有者の責任になる」などと説得して撤去などを求めるが、所有者が拒否すれば、それ以上、対策を講じることができない。罰則を伴う行政処分もあるが、市は「行使したケースは聞いたことがない」と話す。
 1月上旬には、右京区の長屋住宅に関して住民から通報があった。一部が完全に崩落しており、市は所有者に撤去を指導したが、「お金がないので撤去できない」と答えた、という。
 市が06年度に危険家屋と判断した26軒のうち、撤去や補修が完了したのは半数以下の12軒だった。所有者不明が4軒で、他の10軒は所有者の了解が得られず放置されたままだという。市建築監察課は「住民の安全を最優先したいが、私有財産なので、基本的には個人の良心に任せるしかない。危険家屋の大半は空き家だが、放置家屋は一気に老朽化が進むので、所有者は適正に管理してほしい」と強く呼び掛けている。